SIerで3つの現場にWikiを導入した話。
SlackをSIerに導入した話 が羨ましくて、同僚や上司に「こんな話があって―」と宣伝しまくっている今日この頃です。
これまでに3つの現場でWikiを導入しましたが、それぞれ使われ方に違いがあって面白かったのでまとめてみます。
1: 暗黙知が多いプロジェクト。
Wiki導入前
- テスト用サーバのアドレスはもちろん、各工程の成果物さえも暗黙知。
- 「知っている人が隠し持っている(聞けば出てくる)」ということが多かった。
Wiki導入後
- サーバのアドレス情報やシステムの用語集などが徐々に記述されていった。
- 「ここに載ってる」と言えた。
- コメント欄を活用して、システムトラブル時の状況がつぶやかれるようになった。
- 朝出社して「昨晩トラブってたんだ…」と何となく把握できるようになった。
多少は効果があった。
2: 数百人規模なプロジェクト。
Wiki導入前
- 決定事項が「メール」か「2017mmdd_打ち合わせ」フォルダのどちらかに埋まっていて、聞いた記憶はあっても資料に辿り着かない。
- 手順書が不完全で、例えば開発のためにチェックアウトすべきプロジェクトが分からない。
Wiki導入後
- 誰も書いてくれなかった。ので、自らコンテンツをモリモリ作成した。
- コメント欄だけは活発で、顔も知らない人との交流の場になった。
- 担当していない部分の情報をちょくちょく知ることができた。
- プロジェクトが炎上しだすと荒れ出した。
3: 開発プロセスの改善がきちんと行われているプロジェクト。
Wiki導入前
- 資料はほとんど揃っていて、困ることが少なかった。
- 開発サイクルごとに、手順やツールはきちんとメンテナンスされていた。
Wiki導入後
- Wikiはほとんど使われなかった。
- 最近になってコメント欄がちょっとした息抜きの場みたいになった。
振り返ってみて、感じたこと
Wikiは「補完」的な位置付けなのかなと感じました。私自身もそういった使い方をしました。
プロジェクトで用意されている資料だけでは足りないから、Wikiで補完する。ひょっとすると、Wikiが活発なのはあまり良くない兆候で、寂れているほうが良いのかも? とすら思ってしまいました。
余談
各現場ともWikiは勝手に導入しました。Demo or Die(SI現場でいろいろ作った話) でも書きましたが、実際に動かして「ほら」と見せたほうが早い、という考えからでした。
If it’s a good idea, go ahead and do it. It’s much easier to apologize than it is to get permission.
いいアイディアなら、さっさとやってしまえ。許可を得るよりも謝るほうがずっと簡単だから。
COBOL開発者 Grace Hopper (グレース・ホッパー)
幸い、怒られることもなく現在も動き続けています。